空き家をゲストハウスに!郡上八幡「まちやど」(岐阜)

クラウドファンディング・ラボラトリでは
ユニークなクラウドファンディング・プロジェクト(案件)を
(主観的にではありますが)ピックアップ。

『一押しプロジェクト事例集』として、ご紹介しています。

今回は「郡上おどり」で有名な郡上八幡(岐阜県)の
「空き家をゲストハウスにする」プロジェクト。

今から1年前にクランドファンディングでの
資金調達は終了しているプロジェクトですが・・
資金調達成功が、いわば、プロジェクトのスターティングポイント。
その後の経過も興味があったので、そのあたりも含めて、考察しています。

空き家の有効活用や、地域活性に関する取り組みの例として、
ぜひご参考に。

【事例第6号】
プロジェクト概要

郡上八幡の空家をゲストハウスにしたい!!
http://camp-fire.jp/projects/view/961

国/都道府県 国内/岐阜
運営サイト CAMPFIRE
調達型 購入型
業界/セクター 地域活性/古民家再生/ゲストハウス
掲載時期 2014/03/07 〜 2014/04/01
目標設定額/達成金額/支援者数 1,000,000円 / 1,272,000円 / 113人
リワードの金額範囲 500円~300,000円
プロジェクトオーナー関連サイト http://machiyado.info/
https://www.facebook.com/machiyado.gujo

プロジェクトの目的

岐阜県 郡上八幡は、
日本三大盆踊りの1つでもある「郡上おどり」で有名。
夏になると多くの観光客が訪れ、徹夜で盆踊りが行われます。

ただ一方で、それ以外の時期は観光客も少なく
実は人口減少や空き家増加などの問題を抱えているとのこと。

そこで郡上八幡という町に魅せられたプロジェクトオーナーさんは、
当プロジェクトを立ち上げる以前から、1軒の古い町家を借りて
観光客や旅行客が長期滞在できるシェアハウスを運営されていたのですが・・

「もっと都市部の若者も気軽に滞在できる場を設けて交流の場を作りたい!」
という想いでさらに1軒の空き家を借り、宿泊施設としての提供を目指したのが
今回のゲストハウスプロジェクトです。

資金調達の用途とリワード設定

クラウドファンディングで調達した資金の主な用途は、以下の通り。

  1. トイレ・洗面台・シャワーの増設
    (現状それぞれ1つずつしかないところをシェアハウス用に増設)
  2. 町並みに合わせた外装
  3. 各種備品の調達

リワード設定についても、
「宿泊券(1日、回数券、1ヶ月、6ヶ月)」といったすぐ使えるものから
「完成前に支援者が集まって壁貼りワークショップ」といった
ユニークな参加型イベントまで、リワードの種類が多いのが特色です。

また、同じ支援金額でも異なるリワードがいくつか用意されており
ニーズに応じて支援できるように工夫がされています。

本プロジェクトの成功ポイント

その1:ニーズに応じてリワードの種類を細かく設定

リワード設定を見てみると、
7,000円のリワード設定が4種類あります。

「床貼りワークショップ」というイベントに参加できるものなのですが、
これが日程ごとに4日間に分かれて設定されています。

パトロン(支援者)の人数を見る限り、
OUT OF STOCKの満席状態になっている土曜日が
最も参加しやすく支援が集まったようですね。

これは参加型のリワード設定で注意すべきポイントですが、
特定の日時に直接現地へ行き参加する
リワードの場合、
その日に参加出来なければ支援するメリットがありません。

そうなると支援したい方は、支援金額の低いリワードを選ぶか、
支援をやめてしまうか・・どちらかのパターンが多く、
結果的に集められる資金の総額も下がってしまいます。

本プロジェクトの成功要因は、

  • いくつか日程を用意して支援者が選べる形にした
  • どの日程にも参加できない方でも、それ以外のものは受け取れるリワードを設定した(本プロジェクトで言えば、5,000円や5,500円の1日宿泊券)

など、細かいニーズに合わせていくつかのリワードを用意する事で
より高額の目標額を達成することを目指した点が大きいです。

その2:クラウドファンディング立ち上げ前からの積極的な活動

本プロジェクトの募集掲載は2014年3月7日に始まっていますが、
プロジェクトオーナーさんが発信するまちやどのFacebookページを見ると、
それ以前からゲストハウス作りの進捗報告をされています。

本プロジェクトの場合は特に、
すでに運営している【シェアハウスまちやど】があったため、
そこに滞在した人やシェアハウス運営を応援する方たちの口コミ等、
Web内外に広がった事も成功要因と考えられます。
(シェアハウスまちやどは、東海圏のテレビ番組からも取材を受けています)

何か企画を思いついたとして、
いきなり周りに支援者も誰もいない、知らない状態で
クラウドファンディングにプロジェクトを掲載しても、
なかなか人は集まりません。

今回は事前の活動があった事も大きいですが、
例えばFacebookページの開設や体験イベントの開催など、
クラウドファンディングを利用する前からできる事は様々あるはず。

そのあたり、ご興味ある方は、当ラボのブログ記事を参考にしてみてください。

クラウドファンディング入門 第10号
『任せるだけじゃ集まらない!?募集期間中にあなたがすべき3つのアクション』

http://labocrowdfund.org/todooutsidecf/

その3:イベント開催希望者との連携

プロジェクト成功要因その3は、
クラウドファンディングの成功要因でもあり、
それを含めたプロジェクト本来の目的達成の為の成功要因でもあります。

実際のところ、
クラウドファンディングでの資金調達自体が成功してもそれは、
本体のプロジェクト目的達成の為の単なるスターティングポイントです。

当たり前の事かもしれませんが、
プロジェクト自体が成功するか否かは、
資金調達後の活動努力によるところが大きいですよね。

そこで、クラウドファンディングが終了した後、
オーナーさんが、本来の目的達成に為に行ったアイデアあふれる活動とは・・?

【まちやど】では定期的に、
まちやどに所縁のある方や地元のNPO法人等とコラボして、
イベントやワークショップを開催。
https://www.facebook.com/machiyado.gujo/events

  • 町探索
  • お酒のテイスティング会
  • 着付けイベント
  • マクロビオティック料理
  • ゲストハウス運営セミナー

などなど。

単に宿泊施設として運営するのではなく
イベント開催のできる場を提供するメリットは、このように
資金調達後にイベントを開催して「場所貸しによる収益」や「施設の宣伝」を
見込めるのはもちろんですが・・

イベントやワークショップを開催することを目的に
施設利用を考えている人に対しても、使える場を事前に明確にすることで
開催希望者もまた、クラウドファンディングでの支援者になってもらえる点です。

何らかのイベントを定期開催したい方は、
開催できる会場を探しています。

近くにそうした場があれば、イベント主催者が、
クラウドファンディング案件のサポーターとして
支援してくれる可能性もおおいにあります。

更に、そのイベント主催者が
イベント関係者に宣伝してくれれば、
彼らもクラウドファンディング案件の事を知り、
支援してくれる可能性もでてきます。

今回のゲストハウスに限らず、
シェアハウスやコワーキングスペースなど
「場を提供する」タイプのプロジェクトに共通して言えますが・・

直接の利用者だけでなく
「他に関わってもらえる人はいないか?」
施設利用を大局的に見ること。すなわち・・

サービス内容を増やしたり、
支援や口コミの起点となってくれそうな方を探す事は、
クラウドファンディングを企画する際、大変重要なポイントになります。

それが見つけられたら、
プロジェクトの成功率は格段にアップすることでしょう。

まとめ

当プロジェクトは
目標達成し、2014年4月に募集終了。

その後無事にゲストハウスもオープンし、
様々なイベントなども行なわれているようです。

・・個人的に、郡上八幡は僕が中学の頃
初めて一人旅をした時に訪れた地なので、結構愛着が。
ぜひ一度行ってみたいなぁと思っています。

空き家を活用したクラウドファンディングのプロジェクトは
国内でも色々な地域で成功事例がありますので、
空き家対策/地域活性を組み合わせて考えている方や
ゲストハウス/シェアハウス/コワーキングスペースなどの運用を考えている方は、
ぜひ参考にしてみて下さい。

(by おるず)

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