クラウドファンディング・ラボラトリでは
ユニークなクラウドファンディング・プロジェクト(案件)を
(主観的にではありますが)ピックアップ。
『一押しプロジェクト事例集』として、ご紹介しています。
【事例第5号】
目指せ独力で連載&出版!
『あにめたまえ!天声の巫女』
単行本化プロジェクト
事例第5号として今回取り上げるのは、いわゆる萌え系(?)ですが、
神仏妖怪の知識が豊富に散りばめられている・・という、
ちょっと変わった漫画『あにめたまえ!天声の巫女』の出版プロジェクト。
今から1年以上前のプロジェクトではありますが、
雑誌を介さず独自に単行本&電子書籍の出版を成功させた事例として、
クリエイターの方には特に参考になる事例かと思い、取り上げてみました。
http://camp-fire.jp/projects/view/867
1 | 国/都道府県 | 国内 |
2 | 運営サイト | CAMPFIRE |
3 | 調達型 | 購入型 |
4 | 業界/セクター | 出版(本・漫画) |
5 | 掲載時期 | 2013年11月~2014年1月 |
6 | 目標設定額/達成金額/支援者数 | 125,000円 / 1,092,500円 / 343人 |
7 | リワードの金額範囲 | 500~30,000円 |
8 | プロジェクトオーナー関連サイト | http://animetamae.com/(公式サイト) http://animetamae.ldblog.jp/(作者さんのブログ) |
「雑誌連載の中断」を機に
クラウドファンディングでの出版を実現
「雑誌連載の中断後、自力で執筆を続けている」という困難な状況で、
その内容に共感した方々からの支援が集まった成功事例です。
調達資金の用途は主として「単行本」の印刷資金。
リワード設定には、
完成した単行本のプレゼント以外にも・・
・同作者さんの限定電子書籍
・単行本巻末へのメッセージ掲載権
・作者さんとの飲み会
など、様々な趣向を凝らした設定になっています。
注目したいポイント2点
その1: 戦略的に設定した目標金額
目標125,000円に対し、300名を超えた方々から、
合計9倍近くの100万円の支援を達成。
初め、このプロジェクトを見た時には、
印刷などのコストを考えると目標金額が低い印象を持ったのですが、
これは戦略として意識的に設定したとわかって、納得!
目標額に対して支援額が大幅に高くなれば、
クラウドファンディングサイトでの露出度も上がる
(=注目プロジェクトなどで紹介されやすい)ので、
こうした仕組みを戦略として上手く使っているなーという印象です。
※ 企画者(作家さん)ご自身も、
プロジェクト概要説明の中で以下のように発言されています。
『あえて目標金額を低めに設定したのは、クラウドファンディングの醍醐味「ストレッチゴール」を皆さんと楽しみたいがためです!』
『皆さんの支援が目標金額を上回って一定額を超えるたびに、新たな特典やリターンが開放されていきます。このプロジェクトを拡散して、達成額の上昇をゲーム感覚でお楽しみください!』
その2: 電子書籍の宣伝にも繋がるリワード設定
また、リワード設定は最小支援額(500円)が
「電子書籍の購入」という形になっているのもポイントです。
紙媒体での単行本出版と
電子書籍での出版を比較すると、
間違いなく紙媒体の方が印刷コスト分、資金が必要になります。
そこで、少額の支援ではコストのかからない「電子書籍」、
高額の支援では、紙媒体での「単行本」というリワード設定になっています。
単に単行本だけでなく
電子書籍もリワードとして用意する事で、
電子書籍自体の販売数も確保できますし
販売する電子書籍書店(Amazonなど)での
認知度もアップする相乗効果が期待できます。
クラウドファンディングで資金調達をせず、
単に電子書籍を出版し、Amazonなどで販売することもできたのでしょうが・・・
それだけでは、本の存在自体も
あまり知られず(すなわち、注目も集まることなく)
販売数も伸びなかったかもしれません。
電子書籍を売る方法の1つとしても、非常に参考になると思います。
当ブログでも、購入型クラウドファンディングにおける
様々なリワード設定方法についてまとめていますので参考にしてみてください。
結果は・・
CAMPFIRE内の「活動報告」ページによると
最初の目標金額である125,000円は、なんと
プロジェクト掲載開始後わずか3時間で達成したそうです!(スゴイ!)
また、ストレッチゴールに設定されていた
『ドラマCD』の販売も決定したようです。
※ストレッチゴールとは?
目標達成後、さらに高い目標を設定する方法
(=> 本記事の最後にある関連事例記事もご参考に)
さすが漫画家さんという事もあり、
イラストやストーリーテリングを取り入れた
プロジェクトの魅せ方が上手いな〜という印象です。
漫画/アニメ/ゲーム/音楽/映画 など
自主制作やインディーズ系の活動が盛んな分野では、
今後、クリエーターが、ユニークなリワードを設定しつつ
クラウドファンディングで独自に資金調達して
企画を進めるケースが増えてくるのではないでしょうか?
今後が、楽しみです!
(by おるず)
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