リワードとは、
支援者(サポーター、パトロン)が支援をしてくれたその見返りとして
プロジェクトオーナー(資金調達者)がお返しする
「報酬」(=リワード[Reward]の訳)の事。
投資の世界でいう「配当」に近いです。
現時点での国内クラウドファンディング、
それも購入型の世界では通常、
金銭で配当が払われることは少ないので、
厳密にいうと、「現物配当」のようなもの。
リワード設定はプロジェクト成功のカギを握る、
といっても過言ではない位、非常に重要な成功要因です。
リワード設定って、何?
では、リワードを設定するとは何か?と言いますと、
サポートする支援額の選択肢をいくつか用意し、
支援額ごとにリワードとして何を提供できるか?
を、設定することを意味します。
支援者(サポーター)の立場からすると、
クラウドファンディング・サイトに
掲載されているプロジェクトを支援する際は
このリワードの選択肢を選ぶということが
支援(=応援、投資)する、という事になります。
例えば500円支援する場合、そのリワードはお礼のメール。
3,000円の支援に対しては、出来上がった商品がリワードとして送られてくる・・
といった感じです。
プロジェクトオーナー(資金調達者)の立場からすると、
その中味・内容を魅力的なものにしたり、
各リワードの金額を調整する事でお得感を出すなど、
何をリワードにするかによって支援者&支援金額を
より多く集められるプロジェクトに仕立てることができます。
そこで本記事では、
実際にクラウドファンディング・サイトで掲載されているプロジェクトの中から、
よくある代表的なリワードの種類(=支援者・サポーターが何を受け取れるか?)
についてまとめてみました。
プロジェクトオーナーの方!
プロジェクトを企画する際の参考にしてみて下さい。
代表的なリワードの種類
1.お礼のメールや手紙
何らかの形で支援に対する
感謝のメッセージを送るタイプのリワードです。
多くのプロジェクトでは、最も金額の低いリワードに
「お礼メール」など簡単なお返しを設定しているようです。
例えば・・
- メールにてお礼のメッセージを送る
- 直接手紙などを送る
2.Webサイトや完成品に「支援者」の名前が入る
何らかの形で完成したものに
「スペシャルサンクス」「支援者」等として、
個人(もしくは会社や団体)の名前を表示するタイプのリワードです。
支援者に対して、その支援した事実を公表することで
貢献度が目に見えてわかる形にし、支援意欲をそそるもの。
映画/アニメ/ゲームなどでエンドロールに名前が載る、
本や冊子などの巻末部分に、支援者の名前を「協力者一覧」として
掲載される、など。
それほど手間を掛けずに出来て、しかも喜ばれる事なので、
プロジェクトオーナー(企画)としても採用しやすいのではないでしょうか。
例えば・・
- 公式サイトの「スペシャルサンクス」ページに
名前や運営サイトリンク等を掲載する - 映画/アニメ/ゲームなどのエンドロールに名前を掲載する
- 本や冊子に「協力者一覧」として掲載する
- 酒蔵などに名前を刻印する
具体的な事例紹介
以前、当ブログでご紹介した以下の事例では、
- エンドロールに載る
- 作品内のキャラクターとして登場
- 協賛企業
など、支援額に応じた特典が設定されていました。
目の前に戦艦大和が!?バーチャル空間でデジタル3Dモデルを完全再現する「戦艦大和VR復元計画」
3.イベント・リリースパーティー等への招待券
オフラインで開催するイベントに
参加する権利を与えるタイプのリワードです。
例えば・・
- 打ち上げパーティー
- ライブのVIP席
- ロケ地観光ツアー
具体的な事例
渋谷のコワーキングスペース「co-ba」が企画した
図書館作りのプロジェクトでは、完成時に支援者(パトロン)限定で
オープニングレセプションへ招待するリワードが設定されていました。
渋谷に自分たちの『図書館』をつくる、co-ba libraryプロジェクト
4.開発ミーティングや制作会議などへの参加
商品開発や作品づくりのアイデア出しや
ミーティングに参加できる権利を与えるタイプのリワードです。
支援者の立場からすると、
自分の意見を採用してもらえるケースや、
普通では見られないリアルタイムの制作状況を見ることができたり・・
ファンにとっても、支援意欲をそそられる
リワード設定内容ではないでしょうか。
例えば・・
- 映画/アニメ/ゲームなどの進捗状況を限定公開
- 具体的に意見やアイデアを取り入れてもらえる機会
具体的な事例
Makuakeで募集している
『この世界の片隅に』アニメ映画化プロジェクトでは、
「制作支援メンバーミーティング」という形で
支援者が、監督からの制作秘話や資料、特別先行上映などを見たり聴いたりできる
リワードが設定されています。
片渕須直監督による『この世界の片隅に』(原作:こうの史代)のアニメ映画化を応援
5.完成品や開発製品など、具体的なモノ
商品開発系のプロジェクトで
一番多いリワード設定が、このタイプです。
クラウドファンディングで調達した資金を利用して
実際に完成した商品を提供します。
また、完成品だけでなく
・関連商品やグッズの提供
・既にある商品の定期購入サービス
など、色々な形態が考えられるので、
商品開発系プロジェクトに限らず取り入れられるリワード設定です。
例えば・・
- クラウドファンディングを利用して、実際に完成した商品の提供
- 関連商品の提供
- 定期購入サービス
具体的な事例紹介
以前、当ブログでご紹介した事例では、
リワードとして「完成した限定バーレーワインのプレゼント」が
設定されていました。
醸造タンクの増設資金調達に成功!1本3千円、アルコール14%、至高のビール「バーレーワイン」
また、海外のクラウドファンディング・サイトに掲載された
産学共同で開発した新製品をリワードにするケース・・
こちらも、当ブログで事例として記事にしています。
「大学と企業が連携!自分好みの配列に変更できる『Trickey』キーボード製品化計画」
6.Tシャツなどのノベルティーグッズ
寄付型でも見られるのですが、
支援してくれた人へ、支援のあかしとして、
団体のロゴの入ったTシャツなどをプレゼントするタイプです。
例えば・・
- Tシャツ、バッジ、シールなどのノベルティーグッズ
7.地域関連グッズ
地域で開催される
イベント開催費用を支援してもらう見返りに、
地域の名産品や関連グッズがもらえるタイプです。
例えば・・
- 地元の特産品
具体的な事例
FAAVO島根の「石見神楽」存続プロジェクトでは、
同じ支援額で「当日イベント参加権」か、
地元を離れた支援者が多くなる事を考慮し、
「地元名産品のプレゼント」のいずれかを選べるように
リワード設定していました。
我々のブログでも事例として記事にしていますのでご参照ください。
伝統文化を後世に残したい・・島根県「石見神楽 夜明け舞」存続プロジェクト
8.利用権・宿泊券・食事券・受講券・体験参加
施設改装費用や、レストランや祝発新装開店費用、
オーガニック系農産品を新たに栽培する費用や、古民家再生まで・・
支援の見返りとして、一種の権利を与えるものです。
例えば・・
- シェアオフィスの開業したあとの利用権
- 古民家を再生したあとの、宿泊券
- レストランを新装開店したあとの食事券
- エステやネールサロンの新規開店後に使える、クーポン券
- オーガニック系農産品栽培の、体験参加
- スクールや学校の運営費用の見返りとしての受講券
具体的な事例
以下は、日本酒造りのプロジェクトですが、
単に造るだけでなく、支援者が酒の原料となる、
米の「田植え」の段階から参加できる
参加権をリワード設定にしている例です。
世界初?! 500人で田植えから、新しい日本酒5,000本を老舗酒蔵で造る!
9.命名権
製品の開発コストやイベント開催費用、
施設の運営費をまかなう為のクラウドファンディングで、
その見返りとして、名前や名称をつける権利を与えるタイプです。
上述の、支援したら名前が入る・・と同様で
一種の宣伝効果を期待して支援したい・・と思う
支援者の意欲をそそるリワードです。
例えば・・
- 動物園で誕生したばかりの動物の赤ちゃんを命名
- 製品や建物、部屋の名称
- ゲームやアニメの登場キャラ名
具体的な事例
FAAVOさばえの西山動物園運営を支援する
以下のプロジェクトでは、高額支援者に対して
園内の動物(レッサーパンダ等)の命名権を
リワードとしています。
日本一小さい西山動物園!みんなに愛される動物園を守っていきたい!!
まとめ
以上、色々なタイプの
リワード設定についてご紹介しましたが・・
クラウドファンディング業界では、新たな、
ユニークなリワードのプロジェクトが日々登場しています。
リワード設定には、これ!といったルールが存在していませんので、
プロジェクトオーナーとして、何が支援者の心に響くか!の、
アイデア勝負!の世界といっても過言ではありません。
当ブログでも、具体例としての成功/失敗事例を元に、
より効果的なリワード設定の方法について、突っ込んで
分析して発信しますので、今後の記事をお楽しみに。