最近「クラウドファンディング」が
テレビやニュースで取り上げられる機会も少しずつ増えてきましたが、
どちらかと言えば大手企業やベンチャー、有名人などが
大規模な資金調達(数千万円クラス)として利用している・・といった
印象を持っている方が多いように思われます。
でも実はクラウドファンディングって、
もっと小規模な数十万円〜100万程度のプロジェクトにも
使える資金調達手段です。
(冗談かと思いましたが、
5万円程度の募集をしているプロジェクトもありました・・!)
大規模な事例だけを見ていると、
自分とは全く別の世界にあるもの・・というイメージになってしまいがちですが、
もしかすると今いるあなたの立場とアイデアでも、
クラウドファンディングを活用できるかもしれません。
あなたが持っているアイデアはもはや夢ではなく、
実現可能なものかも知れませんよ!
当ブログの過去記事で・・
実はあなたにも関係あるかも!
クラウドファンディングを活用している業界/分野12選
という記事はアクセスも多いのですが、
今回は「立場別」という切り口で、業界問わず様々な立場の方が
- どうクラウドファンディングと関われるか?
- クラウドファンディングでどんな問題を解決できるか?
- こんなことにも利用できる?
など、様々なプロジェクトのアイデアを立場別にご紹介します。
業界に関わらず、
「自分の立場でもクラウドファンディングを活用できる可能性があるかも!」
という気付きになれば幸いです。
目次
立場別クラウドファンディング活用法
1. 新商品開発・スタートアップを担当している方
企業の中で、新商品開発や新規ビジネスの立ち上げを担当している方にとって、
今までにない新しいアイデア・商品開発・新事業展開には、リスクがつきものです。
初期開発資金の資金・予算獲得も必要ですし、
何より自分たちの企画が採用されたところで、実際に成功するのか?
外部のマーケティング・調査会社を利用し、念入りに調査を重ね、
資金も準備したところでもし、上手くいかなかったら・・・?
実際の損失リスクは、新たなことを始める場合にはつきものです。
そこで、アイデアの有効性を測る場としても
クラウドファンディングが活用されています。
自分たちのアイデアをプロジェクトとして運営サイトに掲載し、
支援者(将来の顧客・クライアントになる可能性の高い人々)が
多く集まるかどうか?目標金額まで支援が集まるのか?
募集期間中に経過を観察できますし・・。
支援者とコミュニケーションをとることも可能で、
フィードバックをもらうこともできます。
クラウドファンディングとしてプロジェクトが成功すれば、
アイデアが支持された証明にもなり、それを布石として、
今後、本格的にビジネスを展開・新商品の開発に着手をすることができます。
もしその時、クラウドファンディングで目標に達しなければ、
またプランを修正変更し、再チャレンジも可能です。
活用アイデア
- 開発資金を調達する
- アイデアをテストする場として使う
- 自社製品や店舗のこだわりや特徴を認知してもらう
- EC販売につなげる
事例紹介
その1【SONY】
柄が変わる!?文字盤ベルト一体型の電子ペーパーウォッチ「FES Watch」
(調達金額:2,780,136円)
https://www.makuake.com/project/feswatch/
ソニーが新規商品開発のアイデア・テストと資金調達を兼ねて立ち上げた事例。
資金調達達成まで社名を出さず、成功した点も話題になりました。
その2【日産自動車】
『ごみゼロ・手間ゼロ・・・ 究極のスマートBBQカー!!』
日産自動車×日本バーベキュー協会が、電気自動車で夢のBBQを実現させます!
(調達金額:1,105,000円)
https://greenfunding.jp/lab/projects/1019
日産自動車と日本バーベキュー協会がコラボ。
BBQができる電気自動車、という奇抜なアイデアで開発資金を調達しました。
当ブログで紹介した具体的な事例
2. 飲食店経営者
飲食店をこれから新しく始めたい方にも、
既に運営中の方にも、クラウドファンディングは活用できます。
単に開店資金や改装資金の為の「資金を集める」というだけでなく、
店の認知度アップ(注目を浴びる)を目的としても利用しています。
また、クラウドファンディング運営サイトの中には
ECサイトによる販売もサポートしているものがあるので、
飲食店の人気メニューの商品化や定期購入を導入したい場合にも
使える可能性があります。
活用アイデア
- 新店舗開業資金を調達する
- 新商品や新ブランドを開発する
- 改装設備投資に必要な資金を調達する
- 固定ファンを増やす(イベント開催、クーポン券など)
- ECサイトによるメニューの商品化販売につなげる
- 定期購入サービスにつなげる
事例紹介
その1【株式会社 鯖や】
とろさば料理専門店 SABARファンド
(調達金額:17,880,000円)
http://www.musicsecurities.com/communityfund/details.php?st=a&fid=426&_ga=1.93655963.749769495.1429429361
その2 「とろさばを世界ブランドに!とろさば料理専門店「SABAR(サバー)」関東初出店!」
(調達金額:1,930,380円)
https://www.makuake.com/project/sabar/
主に鯖寿司を中心とした弁当などの商品を販売していた会社が、
新たに鯖専門の店舗を全国各地にオープンするための資金調達に利用。
その3【ウルトラチョップ】
持ち帰りたい!という顧客の声続出。中目黒発祥隠れ家バルの看板メニューを多くの方に!オーナーの熱い思いがたぎるレトルトカレープロジェクト!
http://kibi-dango.jp/info.php?type=items&id=I0000037
(調達金額:944,120円)
こちらは既に運営中だったレストランが、
自店の看板メニューをレトルト商品化する資金の調達に成功したプロジェクト。
3. イベントや大会を開催したい方
何らかのイベントや大会を開催したい場合、
従来はイベントに興味をもってもらえる企業にスポンサーとなってもらい、
費用をカバーするケースが多かったと思います。
しかしクラウドファンディングの仕組みを使うと、
企業の代わりに不特定多数の一般支援者(イベント開催時に参加者となる人々)から
少額ずつ資金を集める事ができます。
支援者は、支援する金額の見返りとして、
イベントへの参加権や入場券、イベントのノベルティーグッズなどが
もらえるケースが多いです。
クラウドファンディングサイト上で、
募集中に集まりつつある支援金額を確認すれば、
プロジェクトオーナー側は、事前にある程度、
そのイベントの成功・不成功を予測することができますし、
支援者数を確認することで、参加者の規模を把握できるメリットもあります。
活用アイデア
- 企業スポンサー以外の手段でイベント開催資金を集める
- 事前に参加規模者を確保できる
事例紹介
その1 「超一流棋士による囲碁13路トーナメント戦を開催したい」
https://readyfor.jp/projects/igo13ro
(調達金額:3,849,000円)
囲碁の「13路盤」と呼ばれる形式を広める活動をしている方が、
日本棋院(国内のプロ囲碁棋士が所属する団体)とコラボして
トーナメント大会を開催した事例。
(通常、こうした大会は通常企業がスポンサーに付く事が多い)
4. 出版したい方
ジャンルを問わず、本(Ebookを含む)を出版したい方も、
クラウドファンディングを活用できます。
出版前のキャンペーンとして、セミナーや講演会を開催したり、
支援者が著者と直接会える場を設けたり、本の出版に関連づけて、
グッズを販売する、などなど、アイデアは様々です。
活用アイデア
- 本の企画時点から資金調達を開始できる
- 事前に出版予定物を認知してもらう
- セミナーや講演会などを開催する
- 関連グッズの販売にも繋げる
事例紹介
その1 「To eat is to live. 誰も見たことのない器と料理の本「LIVE 」出版プロジェクト」
https://motion-gallery.net/projects/utsuwalive
(調達金額:935,400円)
器の作り手/料理の作り手/写真家/デザイナー/プランナー/ギャラリスト
たちが集まり、本を出版し広めるための資金調達に利用。
5. 地元を応援したい方
地域の伝統文化や施設など、資金面などで継続が困難になっているケースも、
クラウドファンディングを使えば全国から(あるいは海外からも!)
支援金を集められる可能性があります。
また、FAAVOのように
地域密着型のクラウドファンディングサイトが登場しているので、
こうしたサイトも利用できるでしょう。
活用アイデア
- 地方の経営が困難になっている場を支援
- 地域特化型クラウドファンディングを活用し、
「地元を離れたけど地元を応援したい」人からの支援を得る - 地元の名産品を国内や海外へ広める
事例紹介
その1 「飛騨をみんなで楽しむ『ひだびと。』第4号プロジェクト」
https://readyfor.jp/projects/hidabito04
(調達金額:221,500円)
岐阜県飛騨地域のフリーペーパー「ひだびと」の発刊費用を集めるプロジェクト。
広告スポンサーを募らず、クラウドファンディングにて支援者を集めています。
1号発行するごとにプロジェクトを新たに立ち上げ、
シリーズ化している点にも注目。
当ブログで紹介した具体的な事例
6. クリエイター・アーティスト・デザイナーの方
作品制作をするクリエイターやアーティストの方は、
様々な形でクラウドファンディングを活用できるでしょう。
例えば、制作活動を支援してもらう形もあれば、
展示会などのイベント開催、あるいは支援者限定のオーダーメイド制作など。
Motion Galleryのように、クリエイティブ系に力を入れている
クラウドファンディングサイトも幾つか存在するので、
自分のジャンルで実際に資金を集めている事例を探して、ご参考にされてみては?
活用アイデア
- 作品づくりを支援してもらう
- 作品を完全受注生産方式で制作&販売する
- 作品の展示会を開催する
当ブログで紹介した具体的な事例
目の前に戦艦大和が!?バーチャル空間でデジタル3Dモデルを完全再現する「戦艦大和VR復元計画」
7. ゲーム・アプリ開発者
インディーズゲームや個人開発アプリなどでも、
クラウドファンディングは活用されています。
高額支援者には*、開発ミーティングに参加してもらうなど、
支援者と一緒になって開発を進めていくやり方も考えられます。
また、「ストレッチゴール」と呼ばれる
目標金額達成後も、さらに新たな目標を設定して
資金調達の規模を広げていく仕組みを活用し・・
- ●万円まで集まったら通常盤を開発
- さらに●万円まで集まったら特別版を開発
- さらに●万円まで集まったら別プラットフォーム版を開発
・・といった風に、集まった支援金額に応じて開発範囲を広げる事で、
開発リスクをうまく分散させているプロジェクトも見受けられます。
活用アイデア
- 開発資金を調達する
- アイデア出しに参加してもらう
- β版(試作品)モニターを集める
事例紹介
その1 「みんなでつくる!インディーズゲーム「モンケン」制作プロジェクト」
http://camp-fire.jp/projects/view/605
(調達金額:2,490,500円)
ゲーム業界の第一線で活躍しているメンバーが集まり、
インディーズゲームの開発資金を調達したプロジェクト。
8. コワーキング・シェアオフィスを開設したい方
コワーキングスペースやシェアオフィスなど、
新しい場を作りたい時にもクラウドファンデイングは活用できます。
こうした場は継続的に利用されるものなので、
例えばリワードに「1ヶ月分の利用権」などを設定し、
事前に顧客を確保する目的でも活用しているケースが見られます。
支援者がそのまま、将来の顧客になるパターン。
クラウドファンディングを利用することでの、
スペース開設前からの宣伝効果も期待できますよね・・。
活用アイデア
- 開設資金を調達する
- 事前に顧客を集める
- 開設前に、支援者(=将来の顧客)から意見を
施設内の会場でイベントを開催する
当ブログで紹介した具体的な事例
- 『海外進出を目指す人のための「活動拠点」をニューヨークにつくります
(News Letter 2015年3月号 「うずめセレクト」を参照)
9. 学生、研究者、教授の方
研究資金や卒業制作など、
資金が必要だけれど自分たちで用意できない・・といった方でも、
内容によってはクラウドファンディングで資金を集められる可能性があります。
研究費獲得に特化した「academist」などの
クラウドファンディングサイトも登場しています。
活用アイデア
- 研究資金
- 卒業制作資金
- 学校の記念樹植樹・記念施設の修復資金
- 学生の部活・イベント資金
事例紹介
その1 「謎多きアリの「居候」の多様性を調べたい!」
https://academist-cf.com/projects/11/komatsu
(調達資金:1,557,800円)
「好蟻性生物」と分類される生物の研究を行なっている大学の研究員が、
研究のためにアフリカへ遠征するための資金を調達。
10. 行政・自治体の方
最近は市区町村などの行政や自治体の方が、
クラウドファンディングで資金調達するケースや、
運営業者と連携して、クラウドファンディングを
運営者側として活用する例も多くなっています。
地域の企業や活動を支援する目的で、
今後はこうした連携も増えていきそうです。
活用アイデア
- クラウドファンディング運営会社と提携して地域の活性化を目指す
- 特定のプロジェクトの資金調達
- 地場産業の世界進出を支援する
事例紹介
その1
その2
11. 政治家の方
政治資金の調達に特化した
「ZIPANGO」というクラウドファンディングサイトも登場しています。
支援者に対して何らかの
リターン(お礼メッセージやパーティーへの招待など)を設定できるので、
より有権者とのコミュニケーションを重視した活動が可能になるのでは?
活用アイデア
- 政治資金を調達する
12. 農家・林業・漁業従事者
農業・林業・漁業といった第一次産業でも、
クラウドファンディングは活用できます。
生産から販売までを1つのプロジェクトとして広める事も可能。
活用アイデア
- 新規参入に必要な機械(耕作機など)の資金を調達したい
- 収穫したものを直接販売したい
- 「自然栽培」など、こだわりの生産がしたい
- 人手不足を解消したい
事例紹介
その1 「【世界農業遺産】能登から世界一おいしい自然栽培の野菜・米づくりに挑戦!!」
https://faavo.jp/ishikawa/project/140
(調達金額:360,000円)
その2 「石川県能登の耕作放棄地を開墾し、おいしいお米で日本酒を造りたい!」
https://www.makuake.com/project/n-project/
(調達金額:4,108,000円)
その3 「マグロのオーナーを募集します!「大間マグロのオーナー制度」で漁師を応援しよう!」
https://www.makuake.com/project/maguro-oma/
(調達金額:2,624,000円)
その4 「子ども達に豊かな自然を残す!林業再生への挑戦、国産杉の工芸品を世界へ!」
https://faavo.jp/miyazaki/project/150
(調達金額:3,250,000円)
13. 環境・社会的活動をしている方
社会に広めたい「想い」を伝えるのにも、
クラウドファンディングは適しています。
出版やイベント開催の資金と参加者を同時に集められるのも、
クラウドファンディングならではの魅力。
活用アイデア
- 活動の認知度を広める本を出版したい
- 活動の認知度を広めるイベントを開催したい
- 募金・寄付としての資金を集める
事例紹介
その1 「大学生の「想い」を絵本にしてアジアの子どもたちに届けよう!官学連携次世代環境教育教材制作プロジェクト」
https://www.countdown-x.com/ja/project/D2208993
(調達金額:1,545,000円)
その2 「バレンタインに同性愛をテーマにした「”好き”に変はない展」を開きたい!」
https://greenfunding.jp/miraimakers/projects/916-
(調達金額:1,076,000円)
14. ボランティア関係者(国内外)の方
Japan Givingなどの「寄付型クラウドファンディングサイト」を利用する事で、
被災地支援や国際地域ボランティアなどの寄付金を集める事ができます。
支援者に対して金銭以外の物でお返しをする「ギフト制度」なども存在するので、
単なる寄付だけではない取り組みが可能となっています。
活用アイデア
- 被災地や国際地域の支援活動資金を集める
- 国際ボランティア関連のイベントを開催したい
- ボランティア従事希望者を集める
事例紹介
その1 「【ネパール地震災害緊急支援】募金受付を開始(アジアパシフィックアライアンス)」
http://japangiving.jp/p/2198
(調達金額:4,594,000円)
ネパールの地震被災者を支援するための募金を調達。
まとめ
以上、それぞれの立場で
「クラウドファンディングがどんな形で活用できるか?」
についてお話しました。
クラウドファンディングと聞くと
「スタートアップ企業が資金を集める場」「寄付や投資」などの
限定的なイメージがまだ強い傾向にありますが、
以上述べてきたように、様々な立場の方が、
それぞれユニークな形で資金調達を実現させています。
今回のブログは、
今現在の国内のクラウドファンディング業界での事情をまとめたものですが、
海外では、もっと多くのユニークな事例が日々登場しています。
アイデアが資金の元手になる、クラウドファンディング!
あなたの立場でも、そのアイデアを活用できるかもしれません。
今までにないアイデアでも、世の中にだしてみたら、
どこかにあなたのアイデアの賛同者がいるかもしれませんよ!